■大宮の新監督は前山口の霜田正浩氏に

 J3降格圏の21位に沈む大宮アルディージャに動きがあった。16節、17節と佐々木則夫トータルアドバイザーが暫定的に監督を務めたが、6月7日に新監督を発表した。18年から3シーズンにわたってレノファ山口を指揮した霜田正浩氏に、クラブの未来を託すこととなった。

 Jクラブを初めて率いることとなった18年シーズンは、クラブ史上最高位の8位へと導いた。序盤戦は首位に立つなど、霜田監督の山口はリーグを盛り上げた。しかし翌19年は15位、20年は最下位に終わっている。

 成績は下降線をたどったものの、多くの選手が羽ばたいた。現在はJ1でプレーするオナイウ阿道(現横浜F・マリノス)、小野瀬康介ガンバ大阪)、菊池流帆(現ヴィッセル神戸)、山下敬大(現サガン鳥栖)、三幸秀稔(現湘南ベルマーレ)らは、霜田監督指揮下の山口でキャリアアップのきっかけをつかんだ選手たちだ。

 今シーズンから新潟の一員となり、ダブルボランチの一角を担う高宇洋も、19年途中から20年いっぱいまで山口でプレーした。アグレッシブなスタイルを貫くなかで、霜田監督は選手のポテンシャルを引き出していった。

 大宮のフロントの思惑を推測すれば、シーズン途中でチームを託すだけに、J2というリーグを知っている監督が望ましかったはずだ。そのうえで、「いまこの瞬間にフリーの立場にある人材」として、大宮は霜田監督を選んだと考えられる。

 今シーズンの大宮は岩瀬監督のもとで4―4-2をベースにしてきた。佐々木監督もほぼ同じシステムを継承したが、山口での霜田監督は4―1-2―3や3―4-2-1などを用いた。戦術の幅は広い。

 複数のJクラブを渡り歩き、日本サッカー協会の技術委員長も務めた54歳は、タレントのクオリティが結果に反映されていない大宮をどのように変えていくのか──。

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