■表面化しなかった不安

 5人抜けたものの、スターティングメンバーにはある程度、なじみのあるメンバーが並んだ川崎は、序盤からボールを支配する。特に、キャプテンマークを巻いた登里がいる左サイドから細かくパスをつなぎ、敵陣深くまで押し込んだ。車屋も左に重心を置き、家長も左に流れるなど、早川知伸監督に「右サイドの守備がなかなか改善できなかった」と言わしめたほどだ。

 15分には左ウイングに入った長谷川竜也がうまく抜け出して今季初ゴールを奪ったかに見えたが、VARの結果、オフサイドでノーゴール判定。それでも39分、バタつく横浜FCの守備陣がクリアし損ねたボールを、小林悠が見事にゴールに結実。前節・鹿島戦で劇的な決勝弾を生んだ11番が、この試合でもストライカーの嗅覚を見せつけた。

 後半に入ると横浜FCがやや盛り返したかに見えたが、67分にまたしても小林がゴール。これも長谷川の左からのクロスを11番が豪快に押し込んだものだ。ホームスタジアムで意地を見せようとした青いユニフォームにとどめを刺した。

 攻守で圧倒した川崎は、代表勢5人が抜けた穴を一切感じさせない試合ぶりだった。その立役者は、家長だ。2得点を奪った小林の活躍はもちろんだが、川崎はいつも通りの試合を展開してみせた。パスワーク、守備強度、チャンスメイクなど、田中碧や三笘薫が抜けたことで不安視された部分もあったが、この90分間では一切表面化しなかった。

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