■山形は20位から8位まで上昇
2チーム目は山形だった。4月21日の9節終了後に、石丸清隆監督を解任した。石丸監督は7位でフィニッシュした20年シーズンを受けての続投だったが、この時点で1勝4分4敗の20位に沈み、得点はリーグ最少タイの「6」に止まっていた。新潟と琉球が走り、京都やジュビロ磐田が追走する上位陣の戦いとの比較から、このタイミングで決断を下したと言える。
これが奏功した。佐藤尽コーチが監督代行として指揮した4試合を2勝1分1敗で乗り切り、ピーター・クラモフスキー新監督にバトンタッチする。昨シーズンは清水エスパルスを率いたオーストラリア人指揮官は、就任初戦で愛媛を退け、ホームで無敗だった琉球に土をつけた。15節終了時点で5勝5分5敗の五分まで成績を戻し、8位まで順位を上げてきている。
佐藤コーチもクラモフスキー監督も、方向性を大きく変えたわけではない。自分たちでボールを保持するスタイルを維持しながら、最短距離でゴールへ向かう選択肢を持つようにした。シーズン途中の対処としては現実的だ。一人ひとりの役割が明確となり、それによって個々が能力を発揮しやすい環境が整っている。得点力に改善の兆しが見られ、守備が安定しているのは好材料だ。