■長崎は「失点減」の課題に取り組む
山形のあとに監督を交代し、山形よりも先に新監督が着任したのは長崎だ。5月2日の11節終了後に吉田孝行監督がアシスタントコーチへ立場を変え、佐藤一樹ヘッドコーチが1試合指揮したのちに、松田浩監督がチームの先頭に立った。
新監督の就任初戦で北九州を1対0で退けると、ジェフユナイテッド千葉と2対2で引分け、岡山を1対0で下している。山形と同じように6勝3分6敗と五分まで挽回し、開幕戦を除く最上位の7位まで順位をあげてきた。20節の磐田戦、21節の京都戦と、シーズン折り返しを前に上位との対戦も残している。自力で上位との勝点差を詰めることも可能だ。
チームトップの6得点をマークしているブラジル人FWエジガル・ジュニオを筆頭として、長崎は5人のブラジル人を擁している。彼らのクオリティこそがチームの強みだが、吉田監督のもとで戦った11試合は、クリーンシートが1試合もなかった。守備の再構築は最初に着手すべき課題で、北九州戦と岡山戦を無失点で終えているのは監督交代の効果だろう。
シーズン途中の監督交代はリスクを伴う。
代えないまま戦うことにもリスクはある。
どちらが正しかったのかは結果でのみ判断されるが、早いほうが修正は効きやすい。深い傷を負う前に体制を変えれば、チーム内にフレッシュな風が吹き込み、文字どおり気持ちを切り替えて立て直していくことができる。監督交代に伴うちょっとした序列の変更が刺激となり、チーム内競争が活発になる。愛媛も、山形も、長崎も、そうやって負の流れを断ち切ろうとしていった。
すでにシーズンの3分の1を終えた段階での監督交代で、大宮はどこまで巻き返すことができるのか。そして、J2リーグ全体にどのような影響を及ぼしていくのか──。