【なぜ大宮・岩瀬監督は解任されたのか(1)】J3降格危機を招いた「クラブ生え抜き」と「希望的観測」【戸塚啓のJ2のミカタ】の画像
解任された大宮アルディージャ元監督・岩瀬健氏   写真 : アフロスポーツ

■20位に低迷する大宮が岩瀬監督を解任

 大宮アルディージャ岩瀬健監督を解任した。5月25日にスポーツ各紙が報じ、同日夕方にクラブから正式発表された。後任監督は外部から招く予定で、当面は元なでしこジャパン監督の佐々木則夫トータルアドバイザーが指揮を執る。

 今シーズンの大宮は、クラブ生え抜きの岩瀬監督を招へいした。柏レイソルで暫定的に指揮を執った経験はあるものの、Jリーグのトップチームではコーチとして手腕を発揮してきた人材である。他クラブで実績を残してきた監督にJ1昇格を託す方向性からの転換だった。

 強化を司る西脇徹也フットボール本部長は、「新しい大宮にトライしていくなかにおいては、監督も経験や実績(重視)ではなく、我々とともに新しいキャリアを積んでいく方が必要ではないか。それが岩瀬監督です」と、選考の理由を説明していた。

 昨シーズンはJ1の大分トリニータでヘッドコーチを務めていた岩瀬監督には、そのまま大分のスタッフとして戦う選択肢もあった。片野坂知宏監督のもとで働くことに魅力を感じてもいたと言う。それでも、「古巣の大宮から、監督のオファーがあったので、迷わず引き受けました」と話した。

 シーズン開幕を迎えるにあたって、西脇本部長は「J1昇格後に戦えるチームを、同時に作っていかなければいけない」との方向性を描いていた。20年シーズンが42試合43得点に終わっていたことを踏まえ、「守備で勝つ試合も出てくるし重要だが、攻撃で主導権を握る」と具体的なチーム作りにも言及していた。

 しかし、ここまで14試合を終えて2勝5分8敗は、勝点11で20位である。J1昇格圏の首位京都サンガF.C.には勝点24差、2位のアルビレックス新潟にも勝点22差をつけられている。J3降格圏に沈む現状を、このまま看過するわけにはいかなかったと言える。

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