■戦列を離れている2人が戻れば戦術的柔軟度は倍増

 そのため、名古屋は交代カードによって、サイドで新たな局面を作ることができる。ただし、マッシモ・フィッカデンティ監督は交代カードをフルに使うタイプではなく、組織の継続性を重視する指揮官でもある。その男が、この直接対決ではどう動くか。

 一方の川崎は、鬼木達監督が積極的に交代カードを切るタイプの指揮官である。後半アタマからの3枚替えもザラで、90分の中で5枚のカードをめいいっぱい切ることが多い。途中から投入するのは3トップがメインで、ザ・ストライカー小林悠、ドリブラー長谷川竜也、フィジカルに優れる知念慶、パスの出し受けが得意な遠野大弥がその中心となる。

 さらに、戦列を離れているジョアン・シミッチ旗手怜央がもし戻れば、川崎の戦術的柔軟度はグンと上がる。シミッチが戻れば田中碧をインサイドハーフで起用できる。ウイング、インサイドハーフ、左サイドバックのいずれでも高レベルでプレーできる旗手が戻れば言わずもがなだ。

 ただし、この2人が戻らないとなれば、局面打破を狙う場面でその選択肢は少なくなる。福岡戦や鳥栖戦では、どちらもホームでの試合ながら、交代カードでうまく流れを変えられなかった。それでも押し切って勝つことができたが、広島戦では引き分けという結果になった。相手が名古屋という堅守のチームであることを考えると、交代カードを切るタイミングはとても重要だ。マッシモ・フィッカデンティ監督とは本来は真逆のタイプだが、この連戦ではカードの切り方に慎重さが見られるかもしれない。

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