■家長が見せた“異例のウォーミングアップ”
名古屋戦で川崎は、いつも通りの４－３－３を用い、中央にレアンドロ・ダミアン、右ウイングに家長、左ウイングに三笘薫が先発した。旗手のゴールは、ペナルティエリアでレアンドロ・ダミアンがボールを受けて落としたボールをシュートに持ち込んだものだが、ダミアンにボールが入る直前、川崎は左サイドに人を密集させていた。具体的には、三笘のポジションはそのままに、家長が左に移って崩しの作業に加わっていたのだ。
三笘や家長が同サイドで攻撃に参加することは、他の試合でも見られる。だが、名古屋戦ではそうした場面が複数回見られた。これは、名古屋の中央の守備者のポジションを動かすことにあったかもしれない。いずれにせよ、この場面で旗手はフリーでペナルティエリアに侵入し、シュートに持ち込むことができた。アシストはダミアン、得点者は旗手だが、家長の試合開始直後のポジション変更があったからこそ生まれたゴールだ。
家長の戦術眼が生きたのはその場面だけではない。試合前のウォーミングアップでこのベテラン選手は、最後の最後までピッチに立ち続けた。通常、どのチームでも先発メンバーが最初にロッカールームに戻り、その後、控え選手がさらにアップをしてロッカールームに戻る。しかし家長は、川崎と名古屋の全選手を通じて最後までピッチに立っていた。家長がいつも最後までウォーミングアップしているわけではない。この試合で、背番号４１にだけ見えていたものがあった。
