■システム変更でなりふり構わぬ名古屋をシャットアウト
名古屋はこの試合で、マッシモ・フィッカデンティという守備の伝道師を欠いた。代わりに指揮を執ったブルーノ・コンカコーチとは連絡を通じた状態で試合に挑んだというが、このイタリア人首脳陣は30分に交代カードを切ることを余儀なくされる。右サイドバックの宮原和也を下げて、成瀬竣平を投入。さらに、1トップの山崎凌吾を下げて長澤和輝を入れたのだ。この交代に伴い、システムも変更。4-2-3-1という名古屋の“基本スタイル”を崩して、4-3-3に変更。なりふり構わぬ変更だった。
慣れない形で反撃しようとする名古屋が立て直した時間も一時あったはものの、川崎としては与しやすかった。後半にさらに追加点を奪っただけでなく、その後も交代カードをフルに切って打開を試みる名古屋の攻撃をシャットアウト。4-0という衝撃のスコアを敵地でたたき出した。
「相手の状況を見てやることは、名古屋だけでなくてやっていること。それがこの形になった」
試合後に先制点を挙げた旗手がこう話したように、川崎の視線はもはや“対戦相手”のスカウトという枠を超えて、さらなる高みへと向けられている。その追及が、このスコアとなったのだ。川崎の選手や鬼木監督は、これまで「圧倒的な強さ」や「強いと思わせたい」といった趣旨の発言を繰り返しているが、2位の名古屋にまさしくその思いを抱かせることに成功した。
その強さを生み出してる一人が、家長昭博だ。この右ウイングが名古屋戦で見せたいくつかの行動は、川崎を高みへと持ち上げるものだった。