■試合終了のホイッスルで城福監督が見せた表情

 一度はボールはゴールポストに嫌われたものの、森島司が詰めて押し込み、試合をイーブンに戻して見せた。この同点弾で、広島は一気に息を吹き返した。

 なんとか勝ち越そうと猛攻を見せる川崎だったが、白いユニフォームはゴール前で気迫の守備を見せる。城福浩監督は、ディフェンスラインに何度も指示を出した。川崎の攻めに耐えるや、すかさず、「1メートルでも2メートルでも前に上げろ!!」と叫び、ファイティングポーズを示し続けた。
 試合の終了を告げるホイッスルが鳴るや、川崎の鬼木達監督は不満そうにベンチに戻ったが、それは、城福監督も同じだ。戦況を睨んで顔をしかめたままの表情で、うつむいてベンチに戻った。勝利への強気は本気だったのだ。

「選手が局面、局面の戦うというところを本当に90分やってくれたなと思います。アウェイの地で川崎を相手に勝点を持って帰れるのは本当にみんなの頑張りだと思う」と試合後に選手をたたえたものの、「もっと辛抱強くつなげると良かった」と、強気の本音も漏らした。

「われわれは連敗をしていたので今日は絶対に負けられないですし、相手よりも気持ちで上回らないと勝点は取れないと思っていた」

 悲壮感をにじませた指揮官は、試合後、大挙、等々力競技場に押し寄せた広島サポーターの元へ、選手とともにあいさつに行った。少し前まで浮かべていた渋い表情は、笑顔になっていた。

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