■「どちらに転んでもおかしくない試合」
さらに、アビスパ福岡のメンバーにも要因があった。先発した3人の外国人選手と途中出場したブルーノ・メンデスは重馬場を感じさせないフィジカルで、ボールを競る際など、川崎の選手を苦しめた。
そのうえ、“ホイッスル”もなかなか鳴らない試合だった。フィジカルコンタクトがあって選手が倒れても、主審はなかなかファールを取らない。このピッチコンディションで“無音のホイッスル”は、どちらかといえば川崎の選手に不利だった感は否めない。
試合を振り返った鬼木達監督が、「最後の時間帯とか本当にどっちに転んでもおかしくないような展開でした」と話したように、何か間違えば、今季初めての黒星を献上しかねない展開だった。
それでも、勝ち切るのが王者たるゆえんだ。55分、遠野が撃ったシュートがFW知念慶に当たってゴールへと吸い込まれ、勝ち越し弾を奪った。知念はこの試合が今季初先発。結果が欲しい中で、価値あるゴールを奪った。
さらに攻勢を強めたい川崎は、75分に家長昭博と三笘薫を投入。82分にレアンドロ・ダミアンをピッチに送り込んだ。前節の多摩川クラシコで4ゴール2アシストと爆発した3トップで勝負をつけにいったのだ。先述したように、なかなかパスワークがはまらない中でこの3トップにボールが渡る機会はなく、思うような攻勢はできなかったものの、伏兵は右サイドバックにいた。