■田中碧がいなかったらあそこまでの試合にならなかった

―しかし、田中碧のプレーはすごかったですね。

大住「すごく自信を持ってプレーをしていたよね。アルゼンチンの選手がガッと詰めてくるんだけど、まったく意に介さないというか。わかっている、という感じで逆を取ったり、ブロックしたり。ブロックに関しても体の強さがあるから、ちゃんとキープができる。ほかの皆もがんばっていたけど、田中がいなかったら、29日はあそこまでの試合にはならなかっただろうね」

後藤「周りもすごく球離れが早くて、どんどん田中にボールが出せたし。26日の0対1で負けた最初の試合みたいに、後ろのほうでボールを持って時間を使ってこねくり回していると、田中に行く時点で、もうダメになっちゃうけど。29日はそういう意味でも学習をしていて、非常に球離れが早くて、良いテンポで田中を使っていたよね」

大住「後半はちょっとボールに触れる回数が減ったよね」

後藤「アルゼンチンが前半と後半で、全然違うチームになったから。前半は背番号7番のフェルナンド・バレンスエラと、10番のマティアス・バルガスを休ませたでしょ。あの2人がアルゼンチンの中心。それを後半頭から出してきて、アルゼンチンがだいぶ盛り返した。点をとられて、ひっくり返されていてもおかしくないくらいやられていたよね。だけどそこで頑張って、セットプレーで2点を取った。そこが素晴らしい」

大住「横内昭展監督は、別に田中にボールを集めろとは指示していないだろうし、そういうチームの作り方はしていないと思う。けど自然に集まるよね?」

後藤「そりゃそうだ。田中碧に預ければ必ずボールを持ってくれるし、良いパスが返ってくるし」

大住「それに、良いタイミングで声をかけて寄っている」

―久保建英にも、田中にボールを預けてから走る場面がありましたね?

大住「久保は29日良かったと思う。自分の持っている一番良いものを出せたんじゃないかな。それは田中がいたからだろうけど」

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