■ロドリゲス流の戦力補強は活きのいい若手が中心

 だが、ロドリゲス監督は「補強には非常に満足している」と語っている。ロドリゲス監督の就任発表は12月22日だったが、11月25日に大槻監督との契約を延長しないと発表した時点で新戦力の獲得についてはロドリゲス新監督の意見も聞いていたようで、ことしの補強は「ロドリゲス色」が濃いように感じられる。ロドリゲス監督のサッカーを推し進めるうえで必要な選手たちだ。

 なかでも大分から獲得したMF田中達也と湘南から移籍したMF金子大毅の2人は、J1での実績もあり、田中はサイドアタッカーとして、金子はボランチとしてポジション争いにからんでくるだろう。また経験豊富なGK塩田仁史は、「守護神」西川周作と18歳の鈴木彩艶というGK陣のなかで重要な働きをするだろう。

 その他の新加入選手で、すぐにもポジション争いに加わりそうなのが、J2の琉球から移籍したMF小泉佳穂と、同じくJ2の栃木から移籍したMF明本考浩だ。ともに左利きのテクニシャンであり、ペナルティーエリアにはいって個の力で打開し、ゴールを奪う能力の持ち主で、高い可能性を秘めている。小泉はトレーニングマッチの琉球戦で「2021浦和第1号ゴール」を決め、明本も水戸戦で1点を決めている。

 浦和レッズ・ユース出身で流通経済大を経て戻ってきたDF伊藤敦樹、東京ヴェルディのアカデミー出身で中央大から加わったドリブラーの大久保智明、青森山田高校から加わった将来性豊かなDF藤原優大、そして浦和のユースから昇格した左サイドバック福島竜弥と、「新人」4人も可能性十分。チーム内の競争は、昨年より激しくなった。

 だが、今季の浦和に昨年からの最大の「変化」をもたらしそうなのが、昨年青森山田高校から加入して今季2年目を迎えるMF武田英寿である。昨年度のU−19日本代表でも中心的な存在だった武田だが、浦和ではルヴァンカップで1試合出場しただけで、なかなかチャンスをもらえなかった。しかし12月にはいって最後の3試合に出場、非凡な才能を見せた。そして今季の沖縄キャンプでは、4つのトレーニングマッチで浦和が記録した9得点のうちなんと5点を記録している。

 「数多くのチャンスがあっての5点ではない。非常に決定力のある選手だ」と、ロドリゲス監督も認める武田が、攻撃のリーダーとなるようなら、今季の浦和は大きく変わるはずだ。

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