■究極の、ラジオによるサッカー中継

 あるとき、私は「これがラジオ中継の決定打だ」という放送方法を思いついた。声質が明らかに違う2人のアナウンサーを起用して、それぞれ1チームを担当し、競り合いやタックルの場面を除き、基本的にそれぞれの攻撃の場面だけを話す。たとえば、声の低いAアナウンサーが川崎フロンターレを、そして高いトーンのBアナウンサーがFC東京を担当する。聴取者はどちらが話しているかで、ボールの保持がわかる。たとえばこういう形である。

Aアナウンサー「中盤右で大島がボールをもつ。顔を上げ、小林の足元にパス。右からサポートにきた家長に落とす。大きく左に振る……。三笘だ。ドリブルでひとり抜く、ゴールラインまで迫ってクロス……」

Bアナウンサー「渡辺がヘディングでクリア。ボールは下がってきた阿部へ。きれいなターン。前方を右へディエゴオリヴェイラ、左へ永井が走る。阿部、永井の前のスペースへのロングパス……。

Aアナウンサー「これをジェジエウがカット……」

Bアナウンサー「永井、即座にプレス……」

Aアナウンサー「ジェジェウがかわす……」

Bアナウンサー「左からはいってきたレアンドロがさらに詰める……」

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