試合後、指揮官は柏のフォーメーションが予想と違っていたことと、足元の戦い方で苦労していたことを明かした。前半の試合中に、そのことをピッチに伝えてはいたが、「なかなか実行するのが難しかった」と明かしている。

 そこで、後半開始時点から選手を2人交代する。齋藤学に代えて三笘薫を、長谷川竜也に代えて家長昭博を送り込んだ。前半が良くなかったときに鬼木監督が用いる打開策だが、ホイッスルが鳴ってから20秒もたたないうちにさらなる失点をしまう。右サイドを崩され、DF北爪健吾の決定的なシュートをなんとかDFジェジエウが防いだものの、そこからつながれて、MF瀬川祐輔がゴールネットに豪快に突き刺したのだ。川崎としては、鬼木監督が送り込んだ2人がボールを触る前の出来事だった。

 0-2。ここまで記録を更新しながら勝ち続けた王者とはいえ、崖っぷちの状況に追い込まれた。が、そんなチームを奮い立たせたのが家長昭博だ。直後の48分、右コーナーキックを得ると、キッカーは田中碧。下部組織出身の22歳が高く蹴ったボールは、ゴール前に密集する選手の頭上を通り越す。そして、ファーで待ち受けていた41番が力強くジャンプすると、その頭に叩きつけられたボールが、柏との点差を「1」に縮めたのだ。

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