MVP級の活躍を見せた三笘薫(川崎フロンターレ)を筆頭に、レギュラーの座を確保し、チームに欠かせない存在となった山本悠樹(ガンバ大阪)や瀬古樹(横浜FC)、森下龍矢(サガン鳥栖)、他にも、荒木遼太郎、松村優太、染野唯月(鹿島アントラーズ)、鈴木唯人(清水エスパルス)、小田裕太郎(ヴィッセル神戸)、松田詠太郎(横浜F・マリノス)などなど、今年は例年にないほど数多くの選手がJ1リーグ戦デビューを果たすだけではなく存在感を示した。
これは、新型コロナウイルスの影響で降格がなくなったことと過密日程になったことで、自然と育成に取り組みやすい環境になったことが大きい。また、それだけではなく、財政面の事情で来季に向けて若手に切り替えていく必要がある場合も少なからずあっただろう。
今回は、現場で取材していて印象に残った選手の中から、今季J1リーグ戦デビューを果たした選手かつ、まだ他チームのサポーターにはあまり知られていないであろう選手を6人(+番外編で1人)選出した。
残り数試合の中で、機会があれば彼らのプレーを目撃してほしい。
■ヴィッセル神戸の守備を立て直すピースになれるか
◎山川哲史
アンドレス・イニエスタだけではなく、最終ラインにもタレントが揃っているはずのヴィッセル神戸だが、守備が安定せずに下位に低迷してしまった。
センターバックにはトーマス・フェルマーレンとダンクレー、両サイドには西大伍と酒井高徳、4バックでこの4人が並ぶことを考えればJ屈指の実力のはずだが、実際には3バックで大崎玲央(場合によってはセルジ・サンペール)が中央に入ったり、フェルマーレンとダンクレーがなかなか揃わずに菊池流帆や渡辺博文が名を連ねたりと、最終ラインのメンバーを固定できなかったことが痛かった。
山川は186cmの長身でありながら、右サイドバックとしても出場している。神戸の戦い方的にゴールキーパーからのロングボールは滅多にないが、守備面でセンターバックではなくサイドの選手がハイボールを競り合うことができれば、アッサリとスペースが空いて失点することは減るし、センターバックとサイドバックの両方で出場できることで、試合ごとにメンバーが変わってリズムがズレてしまうことも減る。大型の選手でありながら足下も安定しており、最終ラインからパスで組み立てていくスタイルにもフィットしている。
プレーからギラギラしたものが伝わってくるところも良い。ACLでも出場機会を得てどんどん経験を積んでいる。サイドバックとしてでも、センターバックとしてでも、神戸の守備のキーマンになる日は近い。