■福岡の決勝点は巻き返しを期す東京五輪世代

 千葉戦で決勝点をあげた松本は、1998年8月生まれの東京オリンピック世代だ。20年1月のAFC(アジアサッカー連盟)U-23選手権に出場し、U-23世代中心の編成だった19年のコパ・アメリカでもメンバー入りしていた。プロ3年目だった19年は、J1リーグで15試合に出場した。

 ところが、20年シーズンはJ1で1試合も出場できていなかった。東京五輪は21年に延期されたとはいえ、所属クラブでアピールをしていかなければいけない立場である。それだけに、8月下旬の段階で福岡からオファーが届いた際には、「広島では難しい状況が続いていたので、すぐに決断できた」と言う。

 福岡加入後はダブルボランチの一角を定位置に、主力と言って差し支えない働きを見せてきた。その一方で、得点を記録することはできずにいた。「やっとこっちに来て初ゴールとれて、みんなの役に立てて良かったです。(シュートシーンは)ちょっと緊張しましたけど、入って良かったです」と、笑顔を浮かべながら振り返った。

 福岡への移籍で止まっていた時計が動き出し、この日のゴールで精神的な落ち着きを得ることができたに違いない。J1昇格へ突き進むチームはもちろん、背番号40を背負う22歳にとっても、ここから先の試合は重要な意味を持つ。

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