■甲府に初勝利を引き寄せたハーフナー・マイク

 7月10日と11日に行なわれたJ2の全11試合で、私が最初に結果を探ったのはヴァンフォーレ甲府対ツエーゲン金沢戦だった。ヨーロッパでも結果を残した元日本代表FWが、古巣のシーズン初勝利に貢献したからである。甲府のハーフナー・マイクだ。

 金沢をホームに迎えた一戦で、ハーフナーは今シーズン初めて先発で起用された。再開後の甲府は新潟と3対3、松本と1対1と2試合連続でドローゲームを演じており、2月に行なわれた開幕節を含めて3試合連続引分けとなっている。シーズン初勝利が欲しいなかで、就任2年目の伊藤彰監督は33歳のターゲットマンをスタメンに指名した。

 この日の甲府は4-4-2のシステムでスタートし、ハーフナーは2トップの一角に入った。金沢はマンツーマンで人に強くつく守備をすることを踏まえ、伊藤監督は「深さ」、「早さ」、「裏へのボール」をポイントにあげる。194センチのハーフナーに求められるのは、最前線で起点となって「深さ」を作ることだった。

 27分には先制点を呼び込む。内田健太の右CKを得意のヘディングで合わせる。この一撃は相手GKに阻まれたものの、こぼれ球を小柳達司が蹴り込んだ。

 背番号44を背負う元日本代表は、35分の追加点にも関わる。最終ラインの今津佑太からタテパスを引き出すと、サポートした野澤英之にワンタッチでさばく。野澤もワンタッチでスルーパスを通すと、スペースを突いたジュニオール・バホスが決め切った。

 ハーフナーは83分までプレーし、甲府は2対1でシーズン初勝利をあげた。試合後の伊藤監督は、「ポストプレーやボールを引き出すところ、本当に献身的に交代するまでやってくれたなと思います」と話した。

 昨シーズンの甲府はリーグ5位の64得点を記録したが、そのうち20点を叩き出したピーター・ウタカが京都サンガへ移籍した。昨シーズン7得点のドゥドゥと18年に2ケタ得点をあげたジュニオール・バホスは、ケガさえなければ数字の見通しが立つ。一方で、新加入のラファエルは09年から12年まで大宮に在籍した実績があるものの、37歳という年齢を考えると慎重な起用法が必要だ。10年のJ2で得点王に輝き、J1昇格の立役者となったハーフナーの存在は、それだけに心強いだろう。9シーズンぶりに戻ってきた彼が得点ランキングの上位に登場してくれば、チームの成績も間違いなく上向いてくる。

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