■またも手倉森采配が的中! 長崎が愛媛との神経戦を制す
前節終了時点で3連勝のV・ファーレン長崎と大宮アルディージャは、揃って勝利をつかんでいる。勝点を12に伸ばした両チームが、1位タイで並んでいる。
長崎がホームに愛媛FCを迎えた一戦は、今節屈指の好カードと言って良かっただろう。愛媛が勢いをつかみつつあるからだ。
39歳の川井健太監督が率いるチームは、再開初戦の徳島戦で0対3から4対3の逆転勝ちを演じた。レノファ山口とアウェイで対戦した前節も、3対0の勝利を飾っている。
長崎、愛媛ともに戦術的な幅を持つが、どちらも4バックでスタートする。ボール保持率では愛媛がやや優勢ながら、フィニッシュへ持ち込むのは長崎が圧倒的に多い。前節2ゴールの富樫敬真が決定機を迎えるものの、スコアは刻まれずにハーフタイムとなる。
0対0のまま推移する51分、川井監督が2枚替えでシステムを3バックに変更する。手倉森監督は60分、76分、82分と交代カードを切るが、4バックを維持する。
ゲームが動いたのは85分だった。途中出場のビクトル・イバルボが、豪雨の打ちつけるピッチをものともせずにドリブルで突進し、ペナルティエリア内で愛媛DFのファウルを誘う。相手GK岡本昌弘が足を滑らせてゴールキックをミスしたことがきっかけだったが、元コロンビア代表の身体能力が存分に発揮された。イバルボは自らPKを蹴り込み、長崎が先制に成功する。
さらに87分、今度はカイオ・セザールだ。75分にイバルボと同時投入されていた24歳のブラジル人ボランチが、左CKからヘディングシュートを叩き込んだのだった。
2節の北九州戦ではルアン、前節の福岡戦では富樫、そして今節はふたりの外国人選手と、後半から出場した選手が得点に絡んでいる。ベンチワークがまたしても的中した手倉森誠監督は、「膠着状態が続くなかでも、こっちにはそれを崩し切れるタマがあった。こっちがうまくいったな」と、試合後のフラッシュインタビューで満足感を滲ませた。
次節は中3日で15日に行なわれ、その3日後にもゲームがある。選手が疲労を残さないようしつつ、ゲーム体力や試合勘を磨いていくという難しい管理を迫られるが、手倉森監督は連戦を待ち望んでいたかのようだ。「試合に勝たなきゃいけない。選手を育てなければいけない。そのふたつのバランスを考えて、相手と自チームの状況を見て、チャンスも与えていって、長崎は連戦になるほど強いというところを見せたい」と、きっぱりとした表情で語っている。
前回の「ミカタ」でもお伝えしたように、19日までの連戦中はリカバリーがメインとなる。戦術的なトレーニングに割ける時間は少ない。4節を終えて勝利のない20位の東京V、21位のFC琉球、それに22位のザスパクサツ群馬は、シーズン最初の正念場を迎えたと言っていい。