■小さな好プレーに反応する拍手が心地良い
Jリーグのスタジアムに、ファン・サポーターが戻ってきた。7月10日から「入場者数上限5000人以下または収容率50パーセント以下」の制限付きながら、観客を迎えて試合が行われることになったのだ。
私は11日にJ2の大宮アルディージャ対東京ヴェルディ、12日にJ1の湘南ベルマーレ対北海道コンサドーレ札幌戦の取材に出かけた。前週のリモートマッチとのはっきりとした違いを、スタジアムとその周辺で感じ取ることができた。
大宮対東京V戦は2271人で、湘南対札幌戦は3327人だから、スタジアムの熱はかなり控えめだ。そもそも新型コロナウイルスの感染拡大予防のガイドラインによって、観衆は声を張り上げての声援が許されない。タオルマフラーを振ることもできない。
できることはひとつ──拍手である。
応援方法としてもっともシンプルな手段は、観衆の反応を知る物差しとして分かりやすい。ゴールシーンやビッグプレーだけでなく、小さな好プレーにも拍手が沸くスタジアムは、それはそれで居心地の良いものだった。
スタジアムからの帰路では、ファン・サポーターの生の声に触れることができた。暗闇のなかを足早に駅へ急いだ、リモートマッチ後のもの悲しさはない。ゆっくりと、少しずつ、サッカーのある新しい日常が作り出されている。