■ピンポイントの補強で戦力アップを実現

 勝点3を運んできたGKスアレスは、チーム始動後の2月に加入した選手だ。正GK候補だった若原智哉が1月中旬に負傷したことにより、22年から24年まで徳島ヴォルティスに在籍したスペイン人守護神を獲得したのだった。

 決勝点を叩き出したカルリーニョス・ジュニオも、シーズン開幕後に補強している。前所属の清水エスパルスと契約を更新しないことが明らかになると、2月末に契約にこぎ着けている。昨オフにFW小森飛絢シントトロイデン(ベルギー)へ期限付き移籍したことで(現在は浦和レッズへ完全移籍)、チームは新たな得点源を求めていた。

 ここ3試合スタメン出場のFW森海渡は、7月のウインドーで獲得した選手である。前半戦7ゴールのFW石川大地がメンバー外となっているなかで、23年にJ2の徳島ヴォルティスで13ゴールをあげた森を迎え入れた。屈強なフィジカルを持つターゲットマンの彼は、カルリーニョス・ジュニオの優秀なパートナーに成り得る。

 彼らふたりの得点感覚を生かすクロッサーには、イサカ・ゼインを呼び寄せた。J2のモンテディオ山形で十分なプレータイムを得ていなかった彼を、ケガで戦線離脱した田中和樹の右ウイングに当てはめた。

 23年からチームを指揮する小林監督のもとで、千葉はチームの練度を高めてきた。そのうえで、J1昇格に必要な戦力を的確に補強している。その動きも早い。追加登録期限の9月12日まで、さらなる補強があるかもしれない。

 リーグ全体に目を移すと、北海道コンサドーレ札幌が岩政大樹監督との契約を解除した。今シーズンのJ2では愛媛FC、カターレ富山、長崎、モンテディオ山形、レノファ山口FCに次いで6チーム目の監督交代となった。

 札幌は9日開催のV・ファーレン長崎戦を1対2で落とし、J1昇格プレーオフ圏まで勝点8差の11位にとどまっている。フロントの決断のタイミングはともかくとして、1シーズンでのJ1復帰を諦めないためには、どこかで動かなければならなかったのだろう。

 後任はU―18を率いていた柴田慎吾監督で、アカデミーで長く指導をしてきた人材だ。Jクラブの監督を初めて務める40歳の指揮官のもとで、残り13試合での勝点積み上げを期す。

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