■J2リーグは2週間のブレイク期間に入り…

 2対0で迎えた79分には、スーパーゴールが生まれる。富山のパスミスに反応したFW久保征一郎が、センターサークル内から右足を振り抜く。鮮やかな放物線を描いたボールが、背走するGKにセーブを許さずネットを揺らした。7月の月間ベストゴール受賞は確実と言っていい一撃が、勝利を決定づけるダメ押し弾となったのだった。

 3対0のまま終了のホイッスルを聞いた水戸は、前節に続いての勝利で勝点を「48」とした。2位のジェフユナイテッド千葉、3位のベガルタ仙台と勝点7の開きがあり、水戸は頭ひとつ抜け出している。

 J2リーグは7月12日開催の第23節を区切りに、2週間のブレイク期間に入っている。

 好調なチームはそのままの状態を保ちながら、攻守両面にさらなる磨きをかけていく。思うように勝点をつかめていないチームは、課題を洗い出して立て直しをはかる。8月2、3日の再開までの時間が、今シーズンの各チームの行方を決定づけると言ってもいい。

 現在は第2登録期間でもある。起爆剤となるタレントや、ケガ人が出たポジションの充実をはかる移籍が多い。

 2位の千葉は、モンテディオ山形からイサカ・ゼインを獲得した。右MF田中和樹がケガで長期離脱となったことを受け、同じポジションで力を発揮する28歳のドリブラーを迎え入れた。

 勝点38で7位のジュビロ磐田は、ブラジル人MFグスタボ・シルバを獲得した。これで6月の特別登録期間を含めて、4人の即戦力を新たにスカッド入りさせている。突破力のあるサイドアタッカーの加入は、2列目の選択肢をさらに充実させるだろう。

 補強に動くのは、上位チームだけではない。ここまで15位のブラウブリッツ秋田は、仙台からFW梅木翼を期限付き移籍で獲得した。FW小松蓮がJ1のヴィッセル神戸へ移籍したため、長身でターゲットになれる梅木を前線に加えた。

 19位のレノファ山口FCは、ブラジル人FWアレフ・フィルミーノを獲得した。かつて在籍したFW草野侑己も水戸から迎えており、得点力不足解消をはかっている。

 一方で、主力を失ったチームもある。16位のモンテディオ山形は、MF高江麗央がJ1の横浜FCへ移籍した。横内昭展新監督のもとで浮上を期すチームにとって、主力ボランチの流出はダメージが大きいと言わざるを得ない。

 20位に沈む愛媛FCも、横浜FCへ主力を送り出すこととなった。MF窪田稜である。左右両サイドに対応し、主力としてプレーしてきた24歳の移籍は、J2残留を目ざすチームにとって痛い。

 夏のウインドーを利用して、さらなる戦力アップを実現できるのか。「クラブ力」が問われる局面である。

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