■「前へ」の意識を鮮明に
この試合では前半から主導権を握った。自陣から前進を試みる富山に対して、水戸は2トップの渡邉新太と寺沼星文がプレスをかけ、ふたりに合わせて全体が連動していく。プレスをかいくぐられるシーンがあっても、守備の出足が鈍ることはない。
守備から攻撃へ切り替わると、全員が「前へ」の意識を表現する。たとえば、15分の決定機だ。
左MF斉藤俊輔が、自陣左サイドからドリブルで持ち出す。その瞬間に、右SB飯田貴敬が右サイドのスペースへ出ていく。斉藤がペナルティエリア手前まで運び、飯田がペナルティエリア内右からクロスを供給し、渡邉がフィニッシュしたのだった。
水戸は4-4-2のシステムを基本布陣とするが、攻撃陣は立ち位置を変えることがある。渡邉が1・5列目から2列目へ下がり、右MFの加藤千尋が内側へ絞って高い位置を取る。右サイドのレーンは、飯田が存分に活用する。
飯田は15分の決定機に続いて24分にも、決定的なパスを供給した。ペナルティエリア内右から縦突破をはかり、FW寺沼のシュートを導いた。右SB飯田と左SB大森渚生のクロスは、水戸の攻撃を支える強力な武器となっている。