
2月26日の川崎フロンターレ戦で今季3試合目の出場を果たしたアビスパ福岡のGK小畑裕馬。15日の柏レイソル戦、そして、22日のガンバ大阪戦と先発を重ねるたびに、神奈川県川崎市の麻生グラウンドで笑顔を見せた人がいる。川崎フロンターレの石野智顕GKコーチだ。
「試合に出てるね」
嬉しそうにこう話す石野GKコーチは24年から川崎に在籍しているが、これまでさまざまなクラブで指導に当たってきた。その中で最も長い時間を過ごしたのが、ベガルタ仙台である。2016年から2021年までを杜の都で過ごし、その間、六反勇治やシュミット・ダニエルなど新旧サッカー日本代表のコーチングをしてきた。
泉ヶ岳からの厳しい風が吹き下ろすオフシーズンであっても、選手のために練習につきあう熱心ぶりを筆者は知っているが、その中で、トップチームだけでなく、中学生にも目をかけていた。そうして育ち、トップチームに入団し、世代別日本代表にも選ばれたのが小畑裕馬だ。今季から福岡に移籍し、そしてJ1に出場する姿を、チェックしては喜んでいたのだ。
小畑が仙台以外のチームに移籍して石野GKコーチと再会するのはこれが初めてのこと。勝敗を競う敵同士ではあるが、この試合をお互いに楽しみにしていたはずだ。