■大宮・長澤監督「J3はホントに甘くない」
J1でバリバリ活躍していた選手がやってきたり、大活躍をしてJ2やさらに上の舞台へ“個人昇格”を果たす選手も多数出てくるJ3リーグは、見どころが年々増えている。
そんなJ3の各チームを率いる監督は、個性派が揃っている。
昨シーズン7位のヴァンラーレ八戸を指揮するのは、歴代最多となるJリーグ通算783試合(開幕節を含む)で采配をふるってきた石崎信弘監督だ。自身は18年からJ3で戦っており、八戸は就任2シーズン目となる。
J2から降格した2チームも、経験豊富な指揮官を迎えた。
大宮アルディージャを率いる長澤徹監督は、ジュビロ磐田とファジアーノ岡山、それにFC東京U-23で監督経験を持つ(磐田では暫定)。磐田、岡山、FC東京でトップチームコーチの経験もあり、21年から23年までは京都サンガF.C.でチョウ・キジェ監督の右腕としてヘッドコーチを任されていた。
ツエーゲン金沢の伊藤彰監督は、17年の大宮を起点にJ2のヴァンフォーレ甲府、J1のジュビロ磐田、J2のベガルタ仙台と、絶え間なく経験を積んできた。3シーズン率いた甲府では5位、4位、3位と上位に食い込んでいる。
W杯を戦った監督も3人を数える。SC相模原の戸田和幸監督、アスルクラロ沼津の中山雅史監督、FC今治の服部年宏監督だ。福島ユナイテッドFCの寺田周平監督、FC大阪の大嶽直人監督、ガイナーレ鳥取の林健太郎監督、カマタマーレ讃岐の米山篤志監督も、日本代表に選出された経験がある。
松本を束ねる霜田正浩監督は、日本サッカー協会で技術委員長などの要職を歴任した。監督としてはレノファ山口FCと大宮を率いてJ2を戦い、23年に現職に就いている。また、FC岐阜の上野優作監督は、21年から22年のカタールW杯まで日本代表コーチを務めた。
外国籍の監督はふたりに限られる。
ひとり目はFC琉球の金鐘成(キム・ジョンソン)監督だ。現役時代は磐田に在籍した元Jリーガーで、18年に琉球をJ3からJ2へ昇格させている。その後は鹿児島ユナイテッドFCや鳥取を指揮しており、J3の戦いに詳しい。
ふたり目は奈良クラブのフリアン・マリン・バサロだ。
89年生まれの34歳は、Jリーグ史上最年少監督の記録を保持している。21年に当時JFLだった奈良を指揮し、就任2年目の22年にリーグ優勝を成し遂げた。J3初年度の23年もリーグ最少失点の守備を構築し、5位に食い込んだ。
19年にFC東京U―23を率いてJ3を戦った大宮の長澤監督は、「J3はホントに甘くない」と話す。
「19年のFC東京U-23では、森保監督の日本代表に呼ばれたこともある野澤・大志ブランドンやバングーナガンデ佳史扶、それに平川怜や原大智らがいたのですが、最初の10試合はボコボコにされました(開幕から5連敗で2勝1分7敗)。
指導者の方々がちゃんと研究してサッカーをやっているので、前期と後期で同じやられかたは絶対にしない。そこの部分の労力の使いかたがすごいというのは、体感として分かっています。J3はチームとしてがっちりとやってくるので、ホントに甘くないです」