■大型補強の松本と大宮の共通点とは
そこで24年シーズンだが、23年は9位に終わった松本が即戦力を補強した。昨シーズンのJ3得点王の小松蓮が抜けた攻撃陣には、同得点ランキング2位のFW浅川隼人を奈良から引き抜いた。SC相模原で10得点を記録したMF安藤翼も補強している。
中盤にはJ1、J2で388試合に出場してきたMF山本康裕を、ジュビロ磐田から迎え入れた。さらに横浜FCでプロデビューを果たし、22年途中から水戸ホーリーホックでプレーしてきたMF安永玲央も加入している。
DFラインには、CB高橋祥平が加わった。東京ヴェルディのアカデミー育ちは、身体能力とフィードに優れる。21年に霜田監督指揮下の大宮でプレーした右SB馬渡和彰も、スカッド入りしている。
J2を勝ち抜くためにはJ1基準のタレントを、J3を勝ち抜くにはためにはJ2基準のタレントを、できるだけ多く揃えたいものだ。しかも、スタメンだけでなく控えにも揃えることで、主力が離脱した際の戦力ダウンを防ぐことができる。
開幕節で昨シーズン19位のテゲバジャーロ宮崎と対戦した松本は、アウェイで2対1の勝利をつかんでいる。この試合では相模原でJ3を戦ってきた新加入のDF佐相壱明、安永、それに20年のJ2で15ゴールを記録したMF山口一真らがベンチに控えた。チームのレベルダウンを防ぐ選手層の厚みという意味でも、松本はJ2昇格争いができる戦力を整えているのだ。
1年でのJ2復帰を目標とする大宮も、白星スタートを切っている。ヴァンラーレ八戸をホームに迎え、4対1で快勝した。
2ゴールのMF泉柊椰(ヴィッセル神戸から期限付き移籍)をはじめとして、開幕節には5人の新加入選手がスタメン出場した。ジュビロ磐田から期限付き移籍の元日本代表FW杉本健勇がノーゴールに終わっても、昨シーズン7位の八戸に快勝したのはチームのポテンシャルの表われだろう。
昨シーズンのJ3で9ゴールをあげたブラジル人MFアルトゥール・シルバ、21年にJ1の名古屋グランパスに在籍したポーランド代表歴を持つFWヤクブ・シュヴィルツォクは、開幕戦でメンバー入りしていない。j1を戦った経験を持つ日本人選手もいる。大宮も選手層は厚い。
他チームの厳しいマークが予想されるなかで、過去に大分しか成し遂げていない1年でのJ2復帰を果たせるか。今シーズンの大宮の戦いぶりに注目だ。
昨シーズン2位で自動昇格した鹿児島ユナイテッドFCから12位のY.S.C.C.横浜までは、勝点差が「10」だった。リーグ内の力が拮抗した状態は、今シーズンも続くだろう。J2へ自動昇格できる2位以内はもちろん、プレーオフを戦う3位から6位を巡る争いも混とんとしている。
J1、J2に比べれば注目度の低さは否めないが、J3にも見どころはある。試合を見ていくほどに、その面白さに気づくことができるはずだ。