「僕自身は怪我して1ヶ月以上(戦列から)離れていたので、試合が楽しみな感じですけど。年間でずっとやってる(他の)選手からすると、そういうメンタルを維持するのは難しい。僕も7月から9月になるまでは慢性的な疲労というか、体ももちろん心の疲れがあったので」
ホームのACL浦項戦の後で、大久保智明はこう語っていた。浦和レッズはルヴァン杯の決勝がシーズンの51試合目だった。今年はACLがシーズン移行のタイミングにあり、5月にACLファイナルを迎える浦和は就任1年目のマチェイ・スコルジャ監督のもとでも、シーズン折り返しにも満たないその時期に、一度チームのピークを持って行かなければならなかった。
その時期を境にして、大久保と並ぶ2列目の主力の一人である小泉佳穂がコンディション不良で一時期チームを離れたり、ACLの2020シーズン最優秀選手に輝いたキャプテンの酒井宏樹も怪我と向き合いながら、ACLファイナルに合わせなければならなかった。幸い守備の要であるアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンの二枚看板と守護神の西川周作は健在で、夏にGK鈴木彩艶がシントトロイデン、犬飼智也が柏レイソルに期限付き移籍した大きなダメージはない。
しかし、夏場に二列目の怪我人が続き、長くチームを引っ張ってきた関根貴大も離脱。サイドバックも酒井に加えて、複数のポジションをこなせる明本考浩が大久保とほぼ同時期に離脱するなど、シーズンが進むほど台所事情は苦しくなった。ボランチは岩尾憲と伊藤敦樹に対するスコルジャ監督の信頼が厚く、二人とも目立った怪我こそ見られないが、だからこそ疲労感がパフォーマンスに表れていることは否めない。そうした中で夏場に加入した選手たちがフィットできず”補強”になれていない実情もある。