■高強度の連戦を想定した準備を

 2列目のタレントでは鎌田大地堂安律が外れ、南野拓実がカタールW杯以来の復帰を果たしている。所属クラブでのパフォーマンスを踏まえれば驚きはないが、問題は南野をどこで起用するのかだ。

 4-3-3ならウイング、4-2-3-1ならトップ下になるが、3トップのウイングは右なら伊東純也と堂安(あるいは久保)、左なら三笘と中村がいる。4-2-3-1のトップ下は鎌田と久保だ。伊東と三笘は突破力がスバ抜けており、鎌田と久保はビルドアップからフィニッシュにまでかかわれる。現時点ではどちらのポジションでも、南野がファーストチョイスになるのは難しい。

 もちろん、貴重な戦力ではある。実績もある。フィニッシャーとしての優れた資質は生かしたい。カナダ戦ではスタメン出場を見送る前提で、チュニジア戦では彼をトップ下で起用することとする。

 カタールW杯のベスト16入りが我々に問いかけたのは、「選手層のさらなる充実」という課題だった。高強度の連戦でもチームの水準が極端に落ちないために、スタメンの11人プラスアルファのクオリティを高めていくのだ。

 カタールW杯で日本を退けたクロアチアは、ルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、イバン・ペリシッチらを途中交代させながら、PK戦で勝利をつかんだ。ズラトコ・ダリッチ監督が彼ら主力を交代させたのは、控え選手のクオリティに自信があったからだろう。日本とのPK戦をくぐり抜けたクロアチアが準々決勝でブラジルを退けた要因には、疲労を分散していたこともあげられるはずだ。

 26年のW杯でベスト8以上の成績を残すには、チーム全体の底上げが欠かせない。主力、バックアップを問わず、世界のトップ・オブ・トップとしのぎを削れるレベルに到達する。そのためにも、今回のようなテストマッチでは、経験の少ない選手をテストしていくべきなのだ。

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