■ポステコグルーの決断

 就任2年目の2019年、ポステコグルーはJ3のFC琉球(2018年のJ3優勝で2019年にはJ2に昇格していた)から獲得したGK朴一圭を3月6日と13日のルヴァンカップ予選リーグで試し、直後のJリーグ、第4節(3月17日)に大分トリニータに0-2で敗れた試合をきっかけに、「代表ウイーク」をはさんだ鳥栖戦に朴一圭にJ1初先発の機会を与えたのである。

 この試合は0-0の引き分けに終わったのだが、朴一圭は飯倉と同様、「スイーパー・キーパー」と「ビルドアップに加わるGK」の2つの役目をこなしつつ、非常に安定感のある(というより「不安感のない」という表現のほうが適切かもしれない)プレーを見せた。朴一圭は、ペナルティーエリアを出ること、あるいは自分がパスを受けることに対する「リスク」をきちんと計ることができ、チームに大きな安定感を与えたのである。この年の横浜FMのリーグ優勝は、朴一圭の活躍に負うところが大きい。

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