■横浜FCを取り巻いた複雑な状況

 翌日曜日。天皇杯決勝と同じ10月16日にはJ1昇格に王手をかけ、まだ逆転優勝の可能性も残す横浜FCがホームのニッパツ三ツ沢球技場にツエーゲン金沢を迎えた。前節、やはりホームでの大分トリニータ戦に敗れて「J1昇格」を決められなかった横浜FC。金沢に勝って喜びの瞬間を目撃しようと三ツ沢のスタンドも8000人を超えるサポーターで埋まった。

 ところが、18時の試合開始を前に3位に付けていたファジアーノ岡山ブラウブリッツ秋田にまさかの逆転負けを喫したことで、横浜FCの昇格がキックオフを待たずに決まってしまったのだ。

 そして、「J1昇格決定」によって気が緩んだのではないだろうが、横浜FCは金沢に3点を先取され、後半追い上げを見せたものの2対3で敗戦となり、そして、その瞬間に新潟のJ2優勝も決まってしまった。

 こうして、各チームともライバルの敗戦によって優勝・昇格が決まるというなんとも拍子抜けする形になってしまったのだが、J2リーグではFC琉球いわてグルージャ盛岡の降格を含めてほとんどの順位が決定。残る興味はJ1参入プレーオフをめぐる6位争いだけとなった。

 J1リーグでも優勝決定を目前にして横浜F・マリノスが足踏みを続けており、天皇杯決勝でも絶対有利のはずの広島が敗れた。やはり優勝あるいは昇格決定という心理的な重圧が選手たちの足を止めてしまうのだろう……。

 そして、それは川崎フロンターレの連覇が始まるまでJリーグで毎年のように見られた光景だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3