■今日の川崎は”J2のデュエル王”
京都からはもうひとり、川崎颯太をピックアップしたい。
デュエルの強さはJ2屈指だ。171センチの身体は、一見すると力強さを感じさせない。ところが、ボール際の攻防に逞しいのである。どちらのものでもないルーズボールに、相手が支配下に収めかけたボールに、迷わずアプローチして奪い取ってみせるのだ。
プロ2年目の今シーズンは、開幕からスタメンに定着した。4-1-2-3のシステムでアンカーを任され、ボールハントの才を存分に発揮している。
ボールを奪うだけではない。攻撃へ展開していく。ドリブルで持ち運ぶことも、サイドチェンジを使うことも、前線でズバッとタテパスを通すこともできる。
攻撃の起点になるところまでは、プロ1年目の昨シーズンも見せていた。今シーズンはパスの出し手になるだけでなく、フィニッシュにも関わっていくのだ。
5月23日のアルビレックス新潟戦では、ペナルティエリア外のセカンドボールに反応し、右足でミドルシュートを突き刺した。自身J1初得点である。
6月26日のプロ2点目も見事だった。中盤から持ち出してピーター・ウタカにボールをあずけ、そのままペナルティエリア内左へ走り込む。ウタカからのリターンパスを、右足で丁寧に流し込んだ。
上位対決となった29節のFC琉球戦でも、川崎の仕掛けが得点を生んだ。福岡慎平とのワンツーでペナルティエリア内へ侵入し、PKを獲得したのだ。
2001年7月生まれは、久保建英や斉藤光毅(ロンメル)、松岡大起(清水エスパルス)らと同じだ。タレントが揃うパリ五輪世代で存在感を強めるには、守備力をベースアップしながら攻撃力を磨いていく必要がある。かつて遠藤航(シュツットガルト)を育てたチョウ監督のもとで、川崎は成長速度をさらに上げていくに違いない。