■破壊力を下支えする優秀なサイドバックたち
横浜FMの戦いぶりを振り返ってみよう。
現在の横浜FMの一番のストロングポイントはサイドからの攻撃にある。
たとえば、“三ッ沢3連戦”の最後を飾った仙台戦は横浜FMにとっては攻撃が完璧に機能した試合だった。終わってみれば5対0という大差となったのだが、試合終了直後には「あれっ、5点しか入っていなかったのか?」と思ってしまうほどの破壊力だった。
仙台は下位に低迷しているとはいえ、GKのヤクブ・スウォビィクを中心に堅守を誇るチームであり、横浜FM戦の直前2節はセレッソ大阪と横浜FCを相手にともにスコアレスドローで勝点2をゲットしていた。横浜FMは、そのベガルタ仙台を粉砕したのだ。
前半はレオ・セアラの決定力の高さを見せつけたゴールだけで試合は1対0のまま推移していたのだが、横浜FMのケヴィン・マスカット監督は61分に水沼宏太と天野純を投入した。その早めの交代が行われた直後の62分、交代で入ったばかりの天野と水沼が右サイドで起点を作り、レオ・セアラがゴール左隅に強烈なシュートを決めて、横浜FMは2点差とし、さらに仙台が動揺するのに付け込むかのように67分、70分と得点を重ねてゲームを終わらせてしまった。
さらに、横浜FMはアディショナルタイムに入ってからも攻撃の手を緩めることなく、90+4分には天野が5ゴール目を決めた。
僕が印象に残ったのはその5点目だった。
自陣から右サイドで岩田智輝、小池龍太、和田拓也、松原健とつなげて、松原のクロスを天野が決めたのだが、まず印象的だったのはワンタッチ、ツータッチで速いパスがつながった美しい軌道を描いたゴールだったこと。そして、パスをつないだ選手たちの顔ぶれが非常に興味深かった。
岩田はMFもできるが、このところ(とくに、チアゴ・マルティンスが不在の時には)CBとして堅実なプレーを見せている。そして、岩田から右SBの小池(または松原)へのパスが起点になる場面が非常に多いのだ。とくに、意表を突くようなパスではまったくないのだが、相手の守備に引っかからないタイミングでつなぐ岩田のパスが攻撃のスイッチを入れることもしばしばだ。