【東京オリンピックサッカー】残り一戦の激論(5)「スペインに勝っていても“奇跡”ではなかった」「収穫といえば悔しさ」「五輪が代表強化にここまでハマったのは初めて」の画像
田中碧 写真:中地拓也
8月3日、東京五輪男子サッカーの準決勝に臨んだ日本代表。優勝候補のスペイン代表を相手に延長戦を戦い0−1で敗れた。久保建英堂安律を中心に攻め、吉田麻也板倉滉が鉄壁の守りを見せ、120分のうち115分を無失点に抑えたものの、最後の最後でマルコ・アセンシオにスーパーなゴールを決められた。6日には銅メダルを懸け、メキシコ代表との3位決定戦を控えるなか、大住良之と後藤健生が日本のサッカーについて激論を交わしたーー。
※第4回はこちらから

 

ー大住さんは、ロシアワールドカップでの日本代表対ベルギー代表戦を比較に出していましたが、追い詰めた感じというか、惜しかった感じはどうでしたか?

大住「ベルギー戦のほうが、気持ちが乗ってたよね」

後藤「だって、2点先行したんだから」

大住「前半だって別に悪い試合じゃなかったし、後半で2点取ったわけでしょ。すごい攻めだったからさ」

後藤「乾貴士のシュートも、あんなの入るか普通って感じだった」

大住「日本の一番いいサッカーやって見せたな、っていう感じなんだよベルギー戦は。あの試合は負けても失うものがない感じだったからよかったけど、スペイン戦はやっぱり背負ってるものが大きかったよね。

 とにかく点をやれない、というところからスタートしてるからね、なかなか攻撃がスッキリいかない」

後藤「内容的にも押し込まれてたよね。しょうがない」

―「背負ってるものが大きい」というのは、やはりピッチの外の問題ですか?

大住「やっぱり“金メダル金メダル!”って言ってたし、金メダルとは言わないまでも準決勝に勝てばメダル確定するからね。そうなったら決勝をブラジルとやって負けても恥ずかしくないし。だから、その辺はすごくチャレンジ、挑戦者としての姿勢は腰が引けたかなって感じがする。それだけ強くなったということなんだけどね」

―強くなった感じですよね。

後藤「マイアミの奇跡とかさ、あの時は「雨あられ」という表現通りにシュートが飛んできて、あれが入らなかったのは“運が良かった”って感じだった。だけど、今日はずっと攻め込まれてはいたけど、ちゃんと守ってね。谷晃生が何回か、当時の川口能活みたいなセーブした場面もあったけど、基本的には最後の決定機の前までしかいかせなかったよね。いい内容で守れていた」

大住「勝てる可能性はある試合はしてたよね」

後藤「3日のスペイン戦は勝っていたとしても奇跡じゃなかった」

大住「最後まで勝つ可能性のある試合をしてたよね。それがワンチャンスでもあれば、っていうことだけど、なかなか相手が最後まで崩れなかった。大きなミスや幸運があったり、サッカーっていうのは必ず、ありうることだからね。そういうのを生かせれば、勝つ試合だった……そうだね、ベルギー戦と比べてどうだろう。大人っぽい試合だったかな」

後藤「そうだね、ベルギー戦の時に今日くらい守備が強ければね。

 ベルギー戦も向こうの1点目なんて、運が悪かった。何でもないヘディングがフワフワーって入っちゃったんだもん。そりゃないよな。強いチームの方にあんなラッキーゴールが生まれちゃったんじゃ勝てないよね」

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