■ニュージーランド戦の切り札は「三笘」か

 メキシコ戦では2対0から追加点を取れなかったのですが、この試合では70分と90+1分に加点して、4対0まで持っていくことができた。内容も結果も、ほぼパーフェクトです。「ほぼ」をつけたのは、酒井がイエローカードを受け、準々決勝は出場停止になってしまったからです。

 ただ、準々決勝をにらんで酒井から橋岡大樹へ交代し、35分強プレーさせることができたのは、本人にとってもチームにとっても大きかったと思います。橋岡自身もいい入りをして、五輪の雰囲気に慣れることができました。

 ケガで出遅れていた冨安健洋を今大会初めて起用することができ、上田綺世旗手怜央も初めて先発で使うことができた。相馬勇紀を右サイドで、旗手に左サイドハーフと左サイドバックでプレーさせた。左サイドバックでプレーしていた中山雄太と、センターバックで2試合先発出場した板倉滉に、ダブルボランチを組ませた。

 さらに、プレータイムの長い久保建英、堂安律遠藤航田中碧を、後半途中でベンチに下げることができた。使いたい選手を使い、選手のポジションと組み合わせを変え、休ませたい選手を休ませることができたことは、かなりの収穫ではないでしょうか。ここから勝ち上がっていくことで、この日の選手起用は価値を持っていくと思います。

 フィールドプレーヤーの控え選手は6人で、交代枠は5人なので、誰かひとりは使うことができません。この試合については、三笘薫に声がかからなかったのですが、森保監督は「今日は使えなくてもいい」と考えたのかもしれません。

 彼自身は試合に出られるコンディションに近づいていることを、メキシコ戦で見せてくれていました。ですから、このフランス戦に出て何かが起こるリスクを避け、翌日以降の練習でよりコンディションを上げてもらい、得点を取らなくては勝ち抜けないニュージーランドとの準々決勝の勝負どころで使いたい、というイメージだったのではないでしょうか。

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