■次戦は「一番危険かもしれない」

 そういう意味では、フランス戦はどの角度から見ても、理想的な勝ち方だったと言うことができます。相手選手が退場した三好へのタックルにはヒヤリとしましたが、試合中にケガをしてタンカで運ばれる選手もいなかった。

 グループリーグ3連勝ということで、チームの雰囲気もとてもいいでしょう。大会前からしっかりとした準備を積み重ね、結果を出したことで、いまだかつてないレベルで準々決勝に臨めると思います。

 日本は金メダルを目標に掲げていますが、戦前の予想ではグループリーグが“死の組”とも言われていました。まずはグループリーグを突破するんだという思いはあったはずで、厳しい戦いを予想していたなかで3連勝を飾ったのですから、ふっと気持ちが緩んでもおかしくないシチュエーションです。

 ニュージーランドは客観的に見て戦いにくい相手ではなく、グループリーグの対戦相手に比べれば与しやすい、とみなさんは思っているかもしれません。しかし、彼らだってグループリーグを突破した勢いを持って、必死に戦ってくるでしょう。日本対策も練ってくるでしょう。

 ひとつ山を越えた日本のメンタリティと、相手との力関係を考えると、実は難しい戦いになる可能性がある。ひょっとすると一番危険かもしれない。けれど、その僕の不安すらも、いまのチームなら杞憂に終わらせるのでは──彼らのここまでの戦いぶりは、そんな期待さえ抱かせてくれます。

 試合後の森保監督や選手たちのコメントからは、グループリーグ突破がゴールではなくスタートラインだ、ここからが本当の戦いなんだ、という力強い意思が読み取れました。ニュージーランド戦、彼らのパフォーマンスに期待したいと思います。

 みんなで応援しましょう‼️

(構成/戸塚啓)

なかむら・けんご  1980年10月31日東京都生まれ。中央大学を卒業後03年に川崎フロンターレに入団。以来18年間川崎一筋でプレーし「川崎のバンディエラ」の尊称で親しまれ、20年シーズンをもって現役を引退した。17年のリーグ初優勝に始まり、18年、20年に3度のリーグ優勝、さらに19年のJリーグYBCルヴァンカップ、20年の天皇杯優勝とチームとともに、その歴史に名を刻んだ。また8度のベストイレブン、JリーグMVP(16年)にも輝いた。現在は、育成年代への指導や解説活動等を通じて、サッカー界の発展に精力を注いでいる。

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