2021年5月28日から6月15日にかけて、サッカー日本代表は男女A代表、U-24合わせ「ドドドド怒涛の9連戦」と題された19日間で9連戦という日程でのゲームスケジュールを組んだ。W杯の二次予選、ドラガン・ストイコビッチ率いるセルビアとのゲーム、そして東京五輪に向けた最終選考のための試合……。大住良之、後藤健生という観戦歴50年を超えるサッカージャーナリスト2人をしても、ここまで集中して日本代表の試合を取材するのは初めてのこと。各日本代表について、縦横無尽に2人が語り合う!
―しばらくは冴えなかった田中碧が、ガーナ戦でいきなり豹変しましたね。
大住「最初のうちはそうでもなかったんだよね。途中からね」
後藤「前半の途中でしょ?」
大住「20分、27分……それくらいからだよね」
後藤「周りのオーバーエイジの選手たちも、これはできる、ってパスを出し始めたし」
大住「そんなことは、とっくに分かっていたと思っていたんだけどな」
後藤「いやいや、まあ実際に試合をしてみてさ」
大住「日本代表のサッカーがそうなんだけど、結局は飛び抜けた個人がいるわけじゃないから。たとえば柴崎岳がいる時だって、とにかく柴崎に渡して何とかしよう、という感じではないんだよね。流れの中で柴崎にボールが回ったら、柴崎が良いパスを出す。だから、特定の個人に預けてリズムをつけよう、という発想自体があまりなかったんじゃないかな」
後藤「釜本邦茂以外ね」
大住「だから田中碧にボールがわたる回数が少なくて。もっと渡してあげればいいのに、と思っていたら、どんどんとボールが集まるようになっていった。それはもちろん、信頼もあるだろうし。そこが国際試合をやる意味だよね。試合をする中で、そういう面が熟成されていく」
後藤「やっぱり練習だけじゃね。いくら練習で上手くても、それは試合とは違う。7日のタジキスタンとの試合だって、選手たちが練習で上手かったから、その姿を見て森保一監督は行けるっていう判断を下したんだから」
大住「そうだね」
後藤「それで相手がガチガチと来たら、なにも出来なくなっちゃった」