【J1分析】浦和は名古屋相手に“価値あるスコアレスドロー”(2)「前半飲水タイム」「試合後」に見えた“浦和の総合力”の画像
キャプテンマを務めた浦和レッズの槙野智章 撮影/中地拓也

■5月30日/J1第17節 浦和レッズ名古屋グランパス (埼スタ)

 J1リーグ第17節で、浦和レッズは2位の名古屋グランパスと対戦し、0-0のスコアレスドローに終わった。攻撃においては堅守を誇る名古屋を崩し切ることができず、守備面でも相手にチャンスを多く作られた。

 しかし、この試合では、現在の浦和の“チーム力”が表れる場面が随所にあった。特に印象的だったのは、前半の飲水タイムの場面。両者のベンチの様子は対照的だった。

 浦和のベンチでは、その時ちょうどアップをしていた控えの選手たちも全員が自然とベンチ前へ集まり、リカルド・ロドリゲス監督やスタッフとともにスタメンの選手を迎える。中には、ボトルやタオルを手渡したり、積極的に声をかける選手の様子も見られた。一方、名古屋のベンチでは、控えの選手は全員が座ったままで、先発した選手たちをベンチ前で迎えたのはマッシモ・フィッカデンティ監督とスタッフのみだった。

 それ以外のシーンでも、前半30分頃、一旦試合が止まった際には、DF槙野智章・MF柴戸海・MF小泉佳穂の3人が、誰からともなくセンターサークル付近に集まり、しばらくの間、ジェスチャーを交えながら確認をしていた。また、前半のアディッショナルタイムが表示された時、槙野はスタジアム全体に響き渡るほどの声で「ラスト!ラスト!」と、チームメイトを鼓舞。後半の立ち上がりには、両者が交互にFKを獲得するという時間帯が続いたが、リカルド監督は気迫のある声で選手たちに指示を送り続けた。

 チームのカラーや方針が異なる以上、こういった場面も一概に良し悪しが判断されるものではない。しかし、チームの総合力は、プレー時間以外の細部にも、おのずと表れてくるものではないだろうか。

  1. 1
  2. 2
  3. 3