■新FW加入で期待される「西村のストライカー化」

 それでも、手倉森仙台のトンネル脱出は近いはずだ。なかなか勝つことができないが、試合を重ねるたびにできることが増え、課題を小さくすることに成功している。今季も昨年同様に過密日程の中で試合をこなしているが、昨季とは違って試合ごとに積み上げているものがある。浦和戦では特に前半がそうだったように、ピッチを支配することができる時間帯を作っている。

 1勝3分8敗。この戦績から抜け出すには、足りないものが少なくとも3つある。一つは、決定力の部分だ。手倉森誠監督が、シーズン開幕前に「腹八分目」と表現した戦力補強は、間もなくチームに合流するFWフェリペ・カルドーゾでひと段落する。この長身ストライカーの加入には、まだ未知数な部分も多いが、それでも期待せずにはいられない。

 現在の仙台の前線のファーストチョイスは西村拓真だ。ただ、西村には前線でのボールキープも含めて役割が多く、得点を奪う作業に専念できていない。その結果が、今季の2ゴールという結果。西村がかつて得点を量産したときは前線中央にポストプレーが得意な石原直樹がいて、彼を横目に裏に抜けてゴールを奪う場面が多く見られた。カルドーゾの加入によって、得点そのものと同時に、西村のストライカー化をも期待できる。

 2つ目の要素は、途中交代で流れを変えられる選手だ。浦和戦ではマルティノスがその役割を期待されたが、うまくゲームに入ることができなかった。アウェイの横浜FC戦でFWエマヌエル・オッティが見事に流れを引き寄せたような働きが欲しい。オッティは現在負傷で戦線離脱しており、その復帰は必ず仙台に力をもたらす。

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