■クラモフスキー監督招へいで方向性を維持

 群馬戦に先駆けて、クラブは新監督内定を発表している。4月30日にピーター・クラモフスキー監督の就任内定と、川井健太コーチの就任が明らかにされた。

 クラモフスキー監督は18年から19年までJ1の横浜F・マリノスでヘッドコーチを務め、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕としてJ1制覇に力を注いだ。20年は清水エスパルスの指揮を託されたが、3勝5分17敗と低空飛行が続き、シーズン終了を待たずに解任されていた。

 クラモフスキー監督が清水で目ざしたのは、ボールを握りながら相手を崩していくサッカーだった。清水では理想と現実のはざまで苦しんだが、基本的には攻撃的で魅力あるサッカーを志向する。

 山形も自分たちでアクションを起こすサッカーを追求してきた。クラモフスキー監督の招へいには、方向性を変えずにチームを立て直したい、とのフロントの狙いが読み取れる。J1とJ2の違いはあるものの日本のサッカーに触れてきたことも、このオーストラリア人指導者が選ばれた理由だろう。

 クラモフスキー監督をサポートする川井コーチは、18年5月から20年シーズン終了まで愛媛FCを率いていた。各チームの特徴からJ2ならではの戦いを理解しており、新監督が必要な情報を持っていると言える。

 あとは、新監督の就労環境がいつ整うのか。クラブの高山明泰強化部長は5月2日の会見で、「いまの時点ではしばらくかかりそう」と説明している。佐藤監督の指揮下でどのぐらいの成績を残し、クラモフスキー監督にバトンタッチできるのかも、チーム再建のポイントになりそうだ。

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