■勝利を引き寄せた相馬のプレー
極めつけが55分のプレーだった。GKランゲラックが空中でボールをキャッチする前、ボールを運ぶG大阪MF宇佐美貴史に背後から猛烈に詰め寄ったのは相馬だった。すかさずランゲラックがボールを前に動かすと、相馬はするすると前線へ。前半から見せていたように、吉田からの縦パスを呼び込むと一気に加速。持ち込んだボックス内でDF1人を切り返しでかわすと、右足でゴール右隅を射抜いた。今季の名古屋にとって、またこの試合の流れからして、大きく勝利に近づく追加点だった。
自陣での守備から相手ゴール前まで広く動き回った相馬。77分には、大きな拍手を受けながらピッチを後にした。
試合後、相馬はこう語った。
「やはりシュートを打たないと点は入らないと思うので、そういう意識で取り組んだ」
堅守というベースはあるだけに、それを無駄にしないための攻撃が必要だった。前節の反省を示すように、今季4度目の複数得点での勝利となった。
冒頭の発言があったシーズン、闘莉王はW杯16強に進出するとともに、Jリーグでは名古屋の初優勝を経験した。そのチームには、17ゴールを決めたハイタワーのケネディや、13得点の玉田圭司という得点源がいた。大きなものを手にする資格を、今季の名古屋もつかみかけようとしている。
1週間後には、川崎フロンターレとの頂上決戦を迎える。「向こうが上だとも思っていないので、チーム全員の力で勝利をもぎ取りたい」と相馬。
優勝を争う準備は、整いつつある。
■結果
名古屋 2―0 G大阪
■得点
29分 山崎凌吾(名古屋)
55分 相馬勇紀(名古屋)