①競技面での停滞

 そもそもサッカーに限らず、質というのは多様性によって高まるものだ。

 サッカーは個で上回ることだけではなく、戦術によって逆の結果にすることも可能なチームスポーツだ。ビッグクラブがあればエレベータークラブもある。同じレベルの相手との力比べがあれば、格下に確実に勝ちたい試合やトップリーグに生き残るために格上相手に何としても引き分けに持ち込みたい試合もある。

 それぞれに思惑があり、そこに工夫が生まれ、それに対するカウンター案が用意され、と戦術的な進化が起こりサッカーというものがより高度な内容になっていく。1試合だけを見れば、ビッグクラブが塩漬けにされるアンチ・フットボールの試合はつまらなく不快に感じることもあるだろう。しかし、そういうものがない、ビッグクラブ側からすれば“きれいなものしかない世界”というのは果たして健全な状態なのだろうか?それはサッカーの競技面での進化をこれまでのように促進するものなのだろうか?そうではないだろう。

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