■川崎の2点目で動いた両監督

 後半、選手交代なしで出てきた川崎は集中力を高めていた。パスのテンポが上がり、次々と福岡のゴールに迫る。小林のシュートがわずかに左に外れた後、10分、ついに勝ち越しゴールが決まる。相手ペナルティーエリアの左手前から長谷川が横パスを出し、受けた知念が右に展開、山根が送ったクロスは思い切ってゴールを飛び出した福岡GK杉山が触れ、左に流れたが、これをエリア内で遠野が拾い、左足シュート。ゴールの枠を外れていたが、正面に残っていた知念のところに飛び、反応よく知念がゴールに押し込んだ。

 福岡の長谷部監督は、すぐにサロモンソンに代えてDF湯澤聖人を、そして渡に代えてFWブルーノメンデスを投入する。188センチのフアンマとともに184センチのブルーノメンデスがトップに並んだことで、以後、福岡の攻撃は、トップの2人に送ってそのセカンドボールを拾って攻め込むという明らかな戦法に貫かれることになる。

 川崎の鬼木達監督も、「次の1点が勝負」と、切り札を投入する。後半30分、両サイドのFW小林と長谷川に代え、超テクニシャンの家長昭博とスーパードリブラー三笘薫を入れたのだ。

 両監督が忙しく動いたとおり、川崎が2点目を取ってからの40分間こそ、この試合の「勝負の分かれ目」の時間だった。そして試合は、急速に集中度を増す。

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