川崎フロンターレの“代表帰り五人男”(1)五者五様だった代表ウィークの画像
川崎フロンターレ・三笘薫 撮影:中地拓也

Jリーグのピッチに活気が満ちている。5人交代制によるエネルギー量の増大もあるだろう。上位の顔ぶれを見ればわかるように、攻撃サッカーが復権したことも大きいだろう。しかし、それだけではなく、日本代表監督の森保一がもたらした刺激も大きな要因となっているのではないか。3月の代表活動が川崎フロンターレに与えた影響について考察した。

登里享平の見せた凄み

 代表ウィークをはさんで再開されたJ1リーグ第7節では、開幕から無失点を続けてきたサガン鳥栖セレッソ大阪に敗れ、また「ウノゼロの美学」で6戦全勝だった名古屋グランパスFC東京との試合でスコアレスドローに終わってしまったが、首位に立っていた川崎フロンターレだけは好調を維持。大分トリニータを相手に2対0で完勝。鳥栖や名古屋との直接対決を前に万全の状況が整ったようだ。

 しっかりとボールをつないでビルドアップするかと思えば、サイドからの崩しやロングボールも駆使した攻撃は相変わらず実に多彩だった。得点は2点だけだったが、「完勝」と言っていい。どうやら、このチームには代表戦の負担などまったく無縁のようだ。

 川崎にとって何よりも心強かったのが、故障で出遅れていた登里享平の復帰だろう。登里不在の間は、旗手怜央がサイドバックの代役を務め、サイドハーフの三笘薫とのコンビネーションなども次第に改善されてきてはいたが、帰ってきた登里は“本職のすごさ”を見せつけた。

 サイドハーフの三笘薫を追い越して攻撃に絡み、タッチライン際でオーバーラップしたかと思うと、内に入って相手ペナルティーエリアに再三進入して相手の守備陣に脅威を与え続けた。実際、この試合の先制ゴールのきっかけとなったFKも、登里が鋭い攻め上がりを見せて相手の反則を誘って生まれたものだった。

 さて、この試合で僕が注目したのは「代表帰り」の選手たちのパフォーマンスだった。

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