■幻となった関根のダイビングヘッド
今年1月に去年のシーズンまで右SBを務めた橋岡大樹が移籍し、さらにはDF宇賀神友弥の負傷の影響などもあり、ここのところ、浦和にとってSBは人材が足りない印象のポジションだった。西が自身の本職である右SBを務めることで、守備が安定するだけではなく、効果的に攻撃参加をしてチャンスを作ることができる。
明本や西をはじめ、新加入の選手たちがそれぞれの持ち味を存分に発揮しながら躍動することで、既存の選手たちにも大きな刺激になっているにちがいない。
“流れからのゴール”という意味では、後半21分に槙野がPKを決めたその4分後のシーンにも注目したい。DF山中亮輔が敵陣の左サイドの深くからクロスを入れると、ファーサイドのMF関根貴大がダイビングヘッドで合わせてネットを揺らした。
この得点は、直後にVARが介入し、その前のプレーで武藤のハンドがあったと判定されたため取り消しになったが、このシーンでは既存の選手たちがボールをつないで、“流れからのゴール”を果敢に狙った。関根のダイビングヘッドという去年のシーズンではあまり見られなかったシーンに、結果的にはノーゴールの判定になったとは言え、ここ数年の不振に喘いでいたサポーターたちにとっては見ごたえのある場面であっただろう。
こうしたシーンも、新加入の選手たちが“新しい風”をチームにもたらしているからこそ生まれたものであるような印象を受ける。
そして、浦和の選手たちの心の中には、共通して、ある“大きな思い”があったようだ。