■VARで消えた”幻のゴール”
それでも、前半ロスタイムにセットプレーで追いつく。コーナーキックで発生した浮き球を、関川郁万がヘディングのループシュートでゴールネットを揺らし、“調子が悪い時のセットプレー”を遂行してみせた。が、反撃はここまでだった。
後半に入っても、浦和がゲームの主導権を離さない。鹿島がなかなか思うように攻撃を組み立てられない中で、66分、PKを与えてしまう。武藤のスルーパスに反応してペナルティエリアに侵入しようとした明本を、この日が初先発となったDF常本佳吾が倒してしまった。VARが用いられたものの判定は変わらず、DF槙野智章に決められる。結果的にこれが決勝弾となった。
その後も、VARで消えた“幻のゴール”を浦和に決められるなど、鹿島は反撃できない。シュート数こそ浦和の5本を上回った11本も放ったが、試合内容を見れば文句なしの完敗だった。
「試合内容がここまで悪かったことは初めてではないかと思う。選手間の距離が遠く、プレー強度も高くなかった。背後をつかれるプレーも多かった。早急に修正していかなければいけない」
試合後にザーゴ監督が話したこのコメントが、浦和戦のすべてを物語っている。パスがつながらず、その目的も共有できないまま、裏を突かれた90分間。ザーゴ鹿島で“最悪の内容”と言いたくなるのも当然だった。