2021年、J1リーグの優勝候補から川崎フロンターレを外した予想が多く見られた。しかし、それをどこ吹く風と川崎は開幕から3連勝してみせた。本稿では川崎の弱点、今季、多くの人たちが懸念するACL参戦による過密日程がどう影響するのかを含め検討し、川崎の強さの理由を明らかにする。
■“優勝候補”ではなかった川崎フロンターレ
J1リーグは開幕から2節を終了した時点で、昨シーズンの王者、川崎フロンターレが圧倒的な強さを見せ、独走状態の様相を呈しつつある。ただ、この時点で「独走状態」と言ってしまうのは、Jリーグにとっても、メディアにとっても「不都合な真実」であるようで、「独走状態」といった表現をする人はほとんどいないのだが……。
そもそも、昨年の川崎の圧倒的な強さを考えたら、優勝候補の筆頭は間違いなく川崎であるはずなのだが、各メディアの優勝予想を見ると川崎以外の名前が挙がるケースが多かった。「“また川崎”では面白くない」という意識が働いたからなのだろう。
だが、蓋を開けてみるとやはり川崎の強さが目立つ展開となった。
ACLに参加する川崎は3月3日の水曜日にセレッソ大阪との第11節を終えているため、すでに3試合を消化して3戦全勝で勝点9を獲得している。さらに、第2節(3試合目)のベガルタ仙台戦では5得点を記録。3戦を終えた時点で得点数はすでに10に達し、「目標」である「1試合平均3ゴール」を超えている。
横浜F・マリノスやC大阪といった強豪との対戦も含んでこの結果を出しているのだ。
しかも、第2節終了時点で2勝して勝点6で川崎を追走するのが名古屋グランパスとサガン鳥栖だけとなってしまったのだ。
もっとも、これは数字のマジックでもある。
川崎が3試合を消化しているのに対して、他のクラブは2試合しか戦っていないのだから、勝点差が付くのは当然。しかも、昨年の準優勝チーム、ガンバ大阪に新型コロナウイルス感染者が出たことによって試合が中止となり、対戦相手だった名古屋や鹿島アントラーズという「打倒川崎」の有力候補の試合数も少なくなってしまったのだ。G大阪と鹿島はこれまで1試合しか消化できず、ともに勝点0のままとなっている。つまり、川崎との勝点差は、あくまでも見かけ上のことなのである。
だが、それでも、見かけ上の勝点差が開いたことは差をつけた方にとっても、差を付けられた方にとっても心理的影響を与えることだろう。