ついに幕を開けた2021シーズンのJ1リーグ。大住良之と後藤健生、2人のジャーナリストが今季の展望、各チームのみどころを徹底的に討論。開幕節の深夜にかわされた熱い議論の行方はーー。
■「浦和が本気でボールを追うチームになってたね」
―土曜日、27日のゲームでは、浦和レッズが溌溂としていましたね。
後藤「去年とは全然ちがうチームになっていたよね」
大住「なんていうんだろう、みんな本気にボールを追っていた。ボールを追うと言っても、アリバイ作りのような、行ってますよこれでいいんでしょ、みたいのがけっこうあるんだけど、みんなすごく本気で、FWの杉本健勇まで本気で行ってたからね」
後藤「ただ闇雲に行くんじゃなくてね。2人で挟みに行くとか、きちっと綺麗にできてたよね」
大住「コース切るとかしっかりできてた。だから、FC東京もずいぶんと餌食になってたもんね」
後藤「どの局面でも数的優位ができて。そのぶん皆が落ち着いてプレーできた。岩波拓也なんて、あんな良い選手だったんだって、久しぶりに思い出したよ」
大住「ちょっと髪の毛も伸びて、なんか違う選手みたいだったね」
後藤「慌ててクリアばっかりしていたのに。今回はきちっと皆が守備できてたもんね」
―ああいう選手でしたよね。オリンピック予選なんかでは。
後藤「岩波はアンダー17のころが一番よかったんじゃないかな、と思っていた」
大住「そうだね。岩波と植田直通、日本のセンターバックの中では、あの2人が一番いいと言われてたもんね」
後藤「そうそう」
大住「浦和の中では、中盤の伊藤敦樹がすごく落ち着いていて、とても良いボランチだと思った。技術もしっかりしているし、よく見えているし、ほとんどミスらしいミスがなかった気がする。彼は大学でセンターバックもやっていました。浦和のアカデミーでユースから上がれず、流通経済大学に行った選手なんだけど。大学生は即戦力じゃないと獲らないという方針なんだろうけど、新加入の3人、明本考浩、小泉佳穂、伊藤、みんな良かったんだけど。中でも伊藤が一番良かった気がする。明本も良かったけどね」
後藤「明本よかったね。すごく曖昧というか、微妙なポジションを取っていて。武藤雄樹の後継者になりそうだよね」
大住「武藤とまったくタイプが違うというか、明本はすごく強いよね。いわゆるデュエルに強い。それでボールを取りに来られてもキープができるし、身体をぶつけて相手からボールを奪う事もできるし。そのあともゴールへ向かっていくような闘志もあるし。それに最後まで足が止まらなかった」
後藤「後半になって余計良くなったよね。なんかすごくゲームに上手く入れるようになって」