■「監督力」勝負の仙台、清水
「監督力」に懸けるのは、清水と仙台だ。昨季同勝ち点のこの2チームで、分が良さそうなのは清水か。
監督交代はギャンブルでもあるが、清水はそのリスクを低減させた。ロティーナ監督はそもそも、Jリーグでの4年間の経験がある。さらに東京ヴェルディでは、長らくJ2でも低迷していたチームを2年連続でJ1昇格を懸けたプレーオフの舞台まで導いた。セレッソ大阪でも5位、4位と、2年連続で前年から順位を上げている。
攻撃的、あるいは守備的といったサッカーの植え付けをする監督ではなく、「フットボールとは何か」を教える指導者だ。選手に状況に応じた正しい判断を求めるように、自身も素材に応じてチームを調理する。国内有数の育成力を誇るアカデミーを持つ「素材自慢」のクラブには、うってつけの人材かもしれない。
仙台はクラブ史上最高のJ1リーグ2位へと導いた手倉森誠監督を再び迎え入れた。被災地となる苦境にもチームを力強く率いた英雄に、東日本大震災から10年となる節目のシーズンにかかる期待はさらに増す。