■新監督たちが乗り越えなければならない高いハードル

 パワハラ問題で退任を余儀なくされたチョウ監督。昨年は関東大学リーグで2部に陥落した流通経済大学のコーチとして2部優勝と1部復帰を成し遂げており、まさに「昇格」のエキスパートでもある。J2中位に低迷していた京都サンガというクラブにとっては起爆剤となることだろう。

 その他、久しぶりに戻ってきた手倉森誠監督が苦境にあるベガルタ仙台を再建できるかとか、その仙台で手腕を発揮していた渡辺晋監督が新しく就任したレノファ山口でどのようなチームを作るかなど新監督たちの動向には注目したい。

 ただ、どんなに能力の高い指導者であったとしても、当然、新しいスタイルを浸透させるのには時間がかかる。

 昨年は、ザーゴ新監督を迎えた鹿島アントラーズが苦しんだ。新監督の戦術が浸透しないまま開幕を迎え、立て直しにも時間がかかったため、一時はあの鹿島が最下位に沈んだことすらあったのだ。

 もっとも、昨年の鹿島には特殊な事情があった。

 鹿島は天皇杯で決勝に進出したため2020年の元日まで試合を行い、その決勝で敗れたために1月末にACLプレーオフの日程が入り、選手たちは休養を取る間もなく実戦の準備を始めざるを得なかった。そのため、しっかりした準備を整えることができないままシーズンに突入。開幕直後にリーグ戦は延期となったが、延期中にはクラブ内に新型コロナウイルス感染者が出たために活動を中断するなど、立て直し作業が遅れてしまったのだ。

 従って、今年は昨年の鹿島のようなことは起こらないだろう。だが、やはり新監督にとっては新しいスタイルのサッカーをいかに早く浸透させるかが勝負となる。

※第2回はこちらより

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