2021年Jリーグ動向「3人の新監督」(1)ロティーナは「清水に最適任」監督の画像
今季から清水を率いるロティーナ監督 撮影:原壮史

J開幕の足音が聞こえる——。新天地へと移った2人のスペイン人監督、清水エスパルスロティーナと、浦和レッズのロドリゲスは、昨年までも異彩を放つ手腕を見せてきた。注目したい。そして、特筆すべきは、これまで実績を積み上げてきたチョウ・キジェが、新たに京都サンガ監督に就任したこと。シーズンのゴールには、はたしてどうなっているのか——。

 ■ロティ—ナ監督は清水エスパルスの救世主となれるか

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で財政状況が苦しいクラブが多く、「ビッグネーム獲得」といった景気の良い移籍話はなかったが、そんな中で積極的な補強を試みたのが清水エスパルスだった。移籍金が発生しない選手を中心とした効率的な補強だったようだ。このところ低迷が続いていた清水の反転攻勢へのきっかけとなるのか注目される。

 最大の話題はGK権田修一Jリーグ復帰だろう。3月にはワールドカップ予選も再開される予定になっているが、現在の状況では国内組だけで戦うことになるかもしれないので、その意味でも権田の日本復帰は歓迎されるところだ。

 そんな清水の積極的補強の中でも“目玉”はロティーナ監督の加入だったのではないだろうか。

 経営的に苦しい時こそ監督選びの重要性は増す。高額の移籍金は使えない中で、監督であればアシスタント・コーチの人件費を含めてもそれほど巨額な資金は必要としない。そして、うまくいけばチームを根本的に変えてしまうだけの影響力もある。

 スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は2017年に東京ヴェルディの監督に就任すると、前年はJ2リーグ18位だったクラブを2年続けて昇格プレーオフに導いた(同監督退任後、東京Vは再び2年連続で10位以下に沈んだ)。

 そして、東京Vを退団したロティーナ監督は2019年からはJ1のセレッソ大阪を率いて、前年7位だったクラブを5位に引き上げ、2020年にはさらに順位を上げてACL圏内の3位に導いたのだ。

 Jリーグでの実績は十分だ。対戦相手をしっかり分析し、試合中にも選手の立ち位置まで細かく修正を加えることによって相手の良さを消し、確実に勝点を拾うことがうまい現実主義的な監督だ。2021年は「4チーム降格」という特別なシーズンだけに、清水にとってまずは残留が目標であろうが、まさにそんなクラブに最適任の監督と言っていいだろう。

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