■グリーンカードをご存じですか

 というわけで、ワールドカップでのレッドカード第1号は、1974年西ドイツ大会の2日目、6月14日に、西ドイツ対チリ、後半22分、チリのFWカルロス・カセリがこの日2枚目のイエローカードを受け、トルコのドガン・ババカン主審にレッドカードを突きつけられて歴史に名を残した。「一発レッド」の第1号は翌6月15日、ウルグアイ対オランダでのウルグアイDFフリオ・モンテロカスティージョである。

 ところで、1988年にFIFAが「フェアプレーキャンペーン」を開始したとき、「イエローカード」をシンボルにした。考案者は、当時FIFAの事務総長だったジョゼフ・ブラッター(会長1998~2015)である。以来、黄色いフェアプレーフラッグが世界に幅をきかせ、「フェアプレー」といえば黄色のイメージが定着した。

 だが、重大な違反により「次は退場だよ」ということを意味する「警告」を示すイエローカードが、フェアプレーのシンボルとはどういうことなのだろうか。ケン・アストンがインスピレーションを得た交通信号でも、「黄色」は「安全を確認して止まれ」、すなわち「ストップ!」のメッセージである。フェアプレーを「推進」しようというなら、「グリーン」がふさわしかったのではないか。私が見た範囲では、アジアサッカー連盟(AFC)やスペインサッカー協会は青いフェアプレーフラッグを使用している。

 ルールにはないが、FIFAもJFAも「グリーンカード」をつくり、とくに少年少女を対象にその使用を推進している。フェアプレー精神にあふれる行為や、相手やレフェリーへのリスペクトを示す行為をした選手に、このカードを示し、そうした行為をプロモートしていこうというのだ。だが出すほうも出されるほうもちょっと恥ずかしい。

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